本節では、イーサネットカードがなくても、 リモートゲートウェイコンピュータにヌルモデムケーブル (ヌルプリンタケーブルとも呼ばれます) で接続して Debian GNU/Linux をコンピュータにインストールする方法を説明します。 ゲートウェイコンピュータは、Debian ミラーがあるネットワーク (例: インターネット) に接続していなければなりません。
この付録の例では、ダイアルアップ接続 (ppp0) でインターネットに接続した ゲートウェイを用いて、PLIP 接続を設定します。 target システムと source システムそれぞれの PLIP インターフェースに対して、 192.168.0.1 と 192.168.0.2 の IP アドレスを使用します。 (このアドレスは、あなたのネットワークアドレス空間で使われていてはいけません)
PLIP 接続をインストール中に設定しておくと、 インストールしたシステムを再起動したときに有効になります。 (章 7. 新しい Debian システムを起動させる をご覧ください)
始める前に、source システム、target システムの双方で、
パラレルポートの BIOS 設定 (IO ベースアドレスと IRQ)
をチェックする必要があります。よく使用される共通の値は、
io=0x378
, irq=7
です。
Debian をインストールする対象コンピュータ。 (target と呼びます)
システムをインストールするメディア。 項2.2. 「インストールに利用できるメディア」 をご覧ください。
ゲートウェイとして機能する、インターネットに繋がっている別のコンピュータ。 (source と呼びます)
DB-25 ヌルモデムケーブル。このケーブルの詳細や自分で作成する方法については、 PLIP-Install-HOWTO をご覧ください。
以下のシェルスクリプトは、source コンピュータをインターネットへのゲートウェイ (ppp0 利用) に設定する簡単なサンプルです。
#!/bin/sh # We remove running modules from kernel to avoid conflicts and to # reconfigure them manually. # (カーネルから競合するモジュールを取り除き、手動で再設定します) modprobe -r lp parport_pc modprobe parport_pc io=0x378
irq=7
modprobe plip # Configure the plip interface (plip0 for me, see dmesg | grep plip) # (plip インターフェースの設定 (私の環境では plip0。dmesg | grep plip 参照)) ifconfigplip0 192.168.0.2
pointopoint192.168.0.1
netmask 255.255.255.255 up # Configure gateway # (ゲートウェイの設定) modprobe iptable_nat iptables -t nat -A POSTROUTING -oppp0
-j MASQUERADE echo 1 > /proc/sys/net/ipv4/ip_forward
インストールメディアで起動してください。
インストールするには、エキスパートモードで動作する必要があります。
ブートプロンプトで expert
と入力してください。
以下は、インストール中の各段階で与える値です。
一覧から plip-modules
オプションを選択してください。
これにより、インストールするシステムで PLIP ドライバが使用可能になります。
target にネットワークカードがある場合、
ドライバモジュール一覧に検出したカードが表示されます。
debian-installer
で plip を使用するよう強制するには、
一覧にあるドライバモジュールの選択をすべてはずさなくてはなりません。
言うまでもありませんが、target にネットワークカードがなければ、
このリストには何も現れません。
「モジュールパラメータを与えますか」には「はい」と答えます。
ネットワークカードの検出・選択が行われないと、
インストーラは、ネットワークドライバモジュールを一覧から選択するように、
うながします。
plip
モジュールを選択してください。
parport_pc モジュールの追加パラメータは、
としてください。
io=0x378 irq=7
plip モジュールの追加パラメータは、空のままにしてください。
「DHCP でネットワークを自動的に設定していますか」には「いいえ」と答えます。
「IP アドレス」は
とします。
192.168.0.1
「Point-to-Point アドレス」は
とします。
192.168.0.2
「ネームサーバアドレス」には、
source で使用しているのと同じアドレスを指定します。
(/etc/resolv.conf
をご覧ください)